雨が降り出してきた。風も唸りを上げて駆け巡っていた。嵐になりそうだった。それもかなり大きな。李逵はもう数度目の攻撃に耐えていた。東汾山兵は、既にその三分の一を失っている。今日の攻防だけで、五十近くの犠牲を出していた。残りは二百。よくもっているとは言えるが、犠牲の数だけはさすがに多かった。陳達の目も血走っていた。もともと豪胆な男だったが、今は、これまでにないくらい勇猛な戦いをしていた。敵禁軍の都虞侯には敗れたようだが、そんな痛手を感じさせないほどの戦いぶりだった。もう一人、果敢に敵陣に突っ込んでいる若者がいた。李逵の知らない若者だった。
「
後ろから声がした。